「好きを形にして、自分らしく生きる人を増やす」MADE BY…これまでの歩みと未来に描くもの

2017年にスタートした「MADE BY…」の活動も今年で8年目。

引き続きカフェ、サロン、スタジオなどの空間デザインや内装の施工、什器のオーダーメイド製作、古着の買い付け・販売を行いつつ、最近では、人と人とが交流できる場「LOCAL SESSION」「LOCAL NIGHT」などを開催しています。

このあたりで一度、始まりから現在の活動、そして未来に描いているものをまとめて発信できればと思い、知人のふじの氏によるインタビュー形式で残してみました。

人と人との交流の場「LOCAL NIGHT」

ふじの:さっそくですが(インタビュー前々日に行われた)「LOCAL NIGHT」は、いかがでしたか?

まり:すごく楽しかったです。遊びに来てくれた方同士をご紹介できたし、それぞれたくさんお話もできたんじゃないかなと思います。

ふじの:いいですね。「LOCAL NIGHT」にはどのような方々が集まったのでしょうか?

清水:基本的に自分たちの知り合いで、でもみなさんはそれぞれ知らない人同士だったりします。お店をやっている方が多かったかな。

まり:10年くらい付き合いがある方もいれば、最近知り合った方もいて。そういう人たちがここで出会って、知り合いになっていて、それを見ることができたのはすごく嬉かったな。それだけでもやってよかったと思います。

軽食も、スーパーで買ったものを出すより、私たちの好きなお店にお願いしたいなと思っていて、お声がけしたら特別に用意してくれて、そのお店のことを「LOCAL NIGHT」に来たみなさんにご紹介できて、そのあたりも自分的に大満足でした!

清水:来てくれた人同士で名刺交換もしていて、お仕事に繋がりそうな可能性もあって、みんなが仲良くなっているのを眺めて、ほんわかとするというか。

まり:帰り際に「今度お店行きますね」なんて会話が生まれていて、それもすっごく嬉しかったよね。

ふじの:「LOCAL SESSION」にしても「LOCAL NIGHT」にしても、やりたくても場がなかったり色々と準備も必要だと思うので、それを実際に開催していることがすごいなと思っていました。

まり:ずっとやってみたいと思っていたことなんですよね。実際やってみて、これこれ、こういうことがやりたかったんだよ〜って実感しました。

清水:内装や物を作って納品して、はい終わりではなくて、何かその後に関係性が続いてるっていうのがいいなって。その方が楽しいし、嬉しい。

「MADE BY…」立ち上げストーリー

お二人が活動するブランド「MADE BY…」は、2017年からスタートし今年で8年目。「MADE BY…」がどのように生まれたか、立ち上げ当初のことをお聞きしました。

ふじの:お二人は「MADE BY…」立ち上げよりもだいぶ前からのお知り合いですか?

まり:だいぶじゃないよね、立ち上げるちょっと前かな。

清水:元々自分が個人事業主としてこの場所(八柱アトリエ)を借りていて、アンティークのリペアとかをやっていて。ある日、仕事終わりのまりちゃんがフラッと寄ってくれて、喋っているうちに仲良くなって。自分がセメント鉢を作っているのを見て、楽しそう!私もやってみたい!ってなったんだよね。

まり:教えてもらいながらセメント鉢作って、完成品を見たら、なんかめっちゃいい感じじゃん!って。せっかくだから販売してみたいという話になり、せっかくなら屋号をつけて、ちゃんと売っていきたいよねという感じで話が進んで。

ふじの:それで屋号をつけることになったんですね。

清水:そうそう。ちょうどここが、当時はアンティークのもので溢れていたから、何かヒントになるものないかなってキョロキョロしていたら、ウッドボックスに「made by California」って書いてあるのを発見したんだよね。そういうのって大体「made in」だから、なんかいいなと思って。そしたらまりちゃんもそう思っていて。

まり: 「MADE BY ◯◯」なんてアリだよね、と。ただその◯◯の部分で迷っていました。結局、「MADE BY」だけで良くない?ってなったんです。◯◯を明確にするより、ちょっと余韻を残すじゃないけど、決めつけなくていいかなって。いずれ誰かと一緒に何かをやる時にも、その余韻の部分でうまく繋げることができるんじゃないかなって。ただ、文字として見た時に「MADE BY」ではなく余韻の部分がわかるようにしたくて、「…」をつけて「MADE BY…」になりました。

ふじの:それが始まりですね。

清水:とはいえ、セメント鉢だけじゃどうにもならないし、まずは知ってもらうためにイベントに出ることにしたんです。 知り合いがやっているイベントに普通に申し込んで…

まり:そうそう。知り合いに言わずに「MADE BY…」の名前でしれっと申し込んで。そしたらなんとなくバレてしまったんですけど、でもそのイベントが「MADE BY…」のお披露目の場になりました。

8年間で見てきた景色

立ち上げから8年後の現在、空間デザインや内装施工、什器のオーダーメイド製作だけでなく、古着の買い付け・販売、そして人々の交流の場となる「LOCAL SESSION」や「LOCAL NIGHT」を開催していることを考えると、ものすごいスピード感。お二人がこの8年間に見てきた景色はどのようなものだったのでしょうか。

ふじの:「MADE BY…」というと木工のイメージが強い方も多いと思うのですが、それはどういったきっかけで始まったのでしょうか。

まり:「鉢だけだとだめだよね」というのは(共通認識として)あって、何を作るか考えた時に、二人とも好きなのがファッションやアクセサリーだったので、まずは展示するためのショーケースがあったらいいんじゃないかな、と作ってみたんです。

清水:木工もYouTubeやネットで検索して、見よう見まねだし、丸鋸もドライバーも、何もないところから始めて。

まり:それでショーケースをオンラインショップで販売するようになってから、問い合わせが入りだしたんだよね。オーダーされたものを作って、バリエーションを増やして、サイズ違いを作って、それからオーダーされたものじゃなく、自分たちのオリジナルデザインのフレームを作って新作を増やして売って、そんなことを繰り返していました。

まり:でもやっぱり彼(清水さん)の考え方がすごくて、木工の技術や知識がこれまでやってきている人よりも劣ってるから、その人たちが休んでいる時間もすべて、365日24時間ずっと木工に捧げれば、いつか追いつけるし追い越せる、そんな考え方なんです。

清水:そうやって言葉にするとちょっとブラックだね。

ふじの:いやいや、ブラックではなくストイックですね(笑)

まり:すごいんですよね。だからやったことがない内容の依頼が来ても「たぶんできるだろうな」って思える。

清水:できるかどうか、というよりも、どうやったらできるか考えてたかな。

ブランドとして走り出した頃、今後「MADE BY…」としてやりたいことを二人で列挙したんだそう。そのひとつひとつを叶えることが現在でも目標になっているそうです。

清水:やりたいこと、やってみたいこと、できることをとにかくたくさん挙げたよね。アンティークやりたいとか、古着を売ってみたいとか。

まり:内装に関しては、パティシエの友人がきっかけで。彼女が出場するコンテストで、作品の台座を「MADE BY…」で作らせてもらって。そうしたら彼女がコンテストを見事勝ち抜き、世界大会に行ったんです。さらにフランスの本大会でも見事優勝して…だからもう十分にお店を持てる実力があるんですが、彼女がお店を持つなら、絶対自分たちが内装をやりたいと思って。

清水:かっこいいお店が増えたらうれしいなって思うよね。そんな感じで書き出した目標をなんとかひとつずつ達成していっているみたいな状態だよね。

まり:うん、そうだね。他の人からしたら「MADE BY…」って何屋さんなんだろうと思われるかもしれないけど、はじめに掲げたことをコツコツやっているだけなんだよね。すぐできるものと時間がかかるものはあるけど。例えば、最初から古着を仕入れて売りたい気持ちはあったけど、去年くらいにやっと、たくさん仕入れて売るってことを実現できたかな。

マインドを大きく変えた東南アジアの旅

いつお会いしても明るく、大胆な性格のように見えるまりさんも、元々は石橋を叩いて渡る慎重派タイプだったんだそう。マインドが大きく変わるきっかけとなった旅の話を教えていただきました。

清水:立ち上げ当初から、他の人と一緒のことをやっていてもしょうがないよね、という気持ちではあったので、そのために海外に行って植物の買い付けをするというアイデアがあって。海外の植物を持って帰ってくるには検疫とか申請することがいくつかあったり、必要な書類もあったり、今ならネットで調べられるかもしれないけど当時はそれがなかなかできなくて、とりあえず現地に行くしかないという状況だったんです。

まり:でも私は、そんな状態で渡航することも、初めての東南アジアにも、すべてに不安があって。本当にできるの…?みたいな。

清水:現地で日本人の方が声をかけてくださった時にも、どう見ても親切で声かけてくれてるのに、まりちゃんはすっごい怪しがっているんですよね。

まり:変なところに連れていかれるんじゃないか、LINE交換なんて大丈夫か。本当に親切な人だったら失礼になるから、相手に伝わらないように、でもしっかり身構えてた。(笑)

清水:だけどそれが実際にはすごくいいご縁になって、おいしいお店を教えてくれたり、場所もわかっていなかった検疫所の場所を教えてくれたり、その出会いがあってからトントン拍子にうまくいって。行動してみないと何が起きるかわかんないな、やってみればけっこうできるもんだなって。

まり:何かこう、旅の中でのできごとが、慎重な性格をぶち破るきっかけになりました。

まり:ラオスに行った時にも、ある民族のいる村に行きたいけどそれが実際どこにあるのかわからない状態で現地入りして、宿の人に聞いてみたら、その人がさらにタクシーの運転手さんに聞いてくれて。道が舗装されていないから車では行けなくて結局トゥクトゥクで行くことになったんですけど、トゥクトゥクの運転手さんすら場所がわかっていなくて。

清水:だけど砂埃にまみれながら結局辿り着いたんですよ!ここ、ネットで調べたあの場所だ…!みたいな。

まり:言葉も通じないし、誰も知り合いがいないところでもなんとかなった。石橋を叩き続けていたらたぶん辿り着けなかっただろうなと思って、「まずはやってみる」のマインドになってきたんです。何か壁があったらその時に考えた方が時間も無駄にならないし、前に進んでいけるよねって。いまでは旅先で出会った人たちに再び会えることが楽しみで…お店の人、宿の受付の人、そういう「人」に会いに行っているようなところもあるかな。

「MADE BY…」のこれから

旅先でも、仕事でも「人」を大切にしているというお二人。これから先の「MADE BY…」をどのように描いているのかお聞きしました。

まり:何をするにも根底には「愛」みたいなものがあるよね、といつも言っています。それを広げていけたらすごくいいなって。「LOCAL SESSION」や「LOCAL NIGHT」をやるようになって、なおさらそう実感しているんです。

清水:そうだね。

ふじの:「愛」をどんな風に広げたいか、イメージはありますか。

清水:抽象的かもしれないけど、僕たちは「MADE BY…」という木を育てているイメージ。八柱と常盤平という場所が木の幹。幹が太くなれば木は大きくなる可能性がある。働いている人が根っこ。幹を支えるために、自分たちが根っことして成長しないといけない。内装、オーダー製作、古着とか個々の事業は枝。枝が伸びて、いっぱい葉っぱができないと、光合成できないし、生きていけない。だからバランスも大事ですね。あとは土が栄養のもとになるので、人との出会いや旅で感じたことをちゃんと養分にして土を育てなければいけない。

もちろんいいものだけじゃなくて、毒みたいなものも程よく入れておかないと免疫もつかないので、そこもバランスかな。

まり:そうだね。

清水:具体的に言うと、服やアクセサリーを作るとか、不動産を買うとか、そのあたりはまだできていないので、いつか絶対やりたいなと思っています。

ふじの:不動産だけちょっと毛色が違いますね…

清水:あ、投資とかじゃないです(笑)。例えば、ビルを1棟買って、自分たちで内装やって、賃貸で住居をやりつつ、1階ではテナントで面白いお店に入ってもらったり、もしくは自分たちでカフェを経営してもいいし…繋がりのある人たちと何か一緒にやる場にしてもいいし。そういう空間を作り上げられたりしたら、なんかいいなっていう。

ふじの:なるほど。すごくわくわくしますね。

まり:カフェをやることも目標の一つではあるしね。

ふじの:抽象的な部分も、具体的な部分もお二人でちゃんと共有されていて、だから過去から現在、そして未来にブレがないんですね。それからお二人ともベースがストイックで、現状に甘んじないところが、ひとつひとつの目標達成につながっている気がします。

清水:「晴れの日は枝が伸びる。 雨の日は根が伸びる。」という言葉があるんですけど、本当にそうだなと思っていて。「枝」ばかり伸びても「根」が張らないと倒れちゃうし。だから少し大変だな、辛いな、という時期も、「根」つまり僕たちが考えるところの「人」が成長している期間と思えばいいかな、そういう時もあるよねと思っています。

ふじの:素敵ですね。ちょっと今の言葉、メモさせてください。わたしも心の支えにさせていただきたいです。

清水:どうぞどうぞ。

八柱という場所への想い

ふじの:先ほどの、木の例え話の中にも出てきましたが、「八柱」という場所に対する特別な思いはあるのでしょうか。

清水:僕は生まれが大阪といいつつ、幼稚園からは八柱在住なので、物心がついてからの記憶はすべて八柱で。つまり八柱は地元なんですよね。だからここが好きという気持ちと、やっぱりアトリエを構えてからは、知り合いがフラッと遊びに来てくれていろんな話をした思い出があるので、そういう意味で「大切な場所」って感じですね。

まり:そうだよね。本当にたくさんの人との思い出があって…だから八柱から常盤平に工房を移転するとなった時に、ここ(八柱アトリエ)に居る時間が減ってしまうことが嫌でした。でも常盤平の方が広いですし工房は移転したい。だけどやっぱり寂しい。そんな風に葛藤していました。そもそも手放すという選択肢はなかったですけど。

清水:いやでも、冷静に考えれば、常盤平に工房を借りるタイミングで、ここ(八柱アトリエ)を手放す方向に行ってもおかしくはないよね。二人で2箇所借りても…ね。でもその選択肢はお互いになかった。どれだけ続くかわからないけど借り続けよう、それが成り立つように稼ごうみたいな気持ちで。

まり:そうだね。最近ここ(八柱アトリエ)で「LOCAL SESSION」や「LOCAL NIGHT」をやってみて、この場所があることで繋がれる人がいて、懐かしさや安心を感じてもらえてる気がするんですよね。借り続けてよかったなって、ようやく実感できています。これからも人の交流の場として、もっと何かやっていけたらいいなっていうのはすごく思います。

変わりつつある心と体

まりさん、清水さん、そしてインタビュアーのふじのは共に「アラフォー」といわれる世代。お二人が感じる心と体の変化や暮らしに取り入れていることをお聞きしました。

清水:これは心の変化に入るのかな。「MADE BY…」って当初は「とにかく自分たちが好きなことをやろう」というのがテーマだったんだけど、ここ最近は「 好きを形にして、自分らしく生きる人を増やしていこう」みたいなのが「MADE BY…」の理念なんじゃないかなと思っています。

清水:内装ひとつとっても、「内装を作る」というより「その人が自分らしく生きるための夢をサポートする」みたいな気持ちで。自分らしく生きていく人を増やしていけたらいいなと思っていて、もちろんそのためには、まず自分たちが自分らしく生きてなかったら説得力がないので、全力でやらないとって感じですね。

ふじの:視野がぐっと広がってきているんですね。

清水:そんな感じかな。20代、30代でやってきたことを40代は人に還元できるようになれたら楽しそうだなって。あと個人的には、まりちゃんのやりたいことを実現したいなって考えているかな。

まり:20代、30代で培ってきたものを分け与える存在になる、そういうフェーズなんだろうなっていうのは、(清水さんを)近くで見ていてもすごく伝わってきて。だからこそ今、「MADE BY…」について発信しなくちゃ!って思ったのかも。これまでだったら別に自分たちのことだから、誰かに知られなくてもいいよみたいな所があったけど、やっぱり還元するには発信して知ってもらわないとなって。

ふじの:素敵な変化ですね。そんな発信のお手伝いをさせていただけて光栄です!

まり:あとは若い子たちに、こういう大人もいるんだよ。こういう生き方もあるんだよ。だからもっと広い視野でいろいろ考えていいんだよ、みたいなことを伝えられる存在になれたらいいなって最近思っています。

ふじの:いいですね。いろんな生き方を選択できる時代なので、きっとひとつの生き方として参考になると思います。体の面ではどうでしょうか。

清水:体に関しては、筋トレでなんとかしようって感じかな。

ふじの:体も大事ですよね。心と体は切っても切り離せないと思うので、常にある程度使える状態にしておかないと。

まり:そうなんです!パーソナルトレーニングおすすめですよ!それこそ体が整っていないと旅もできないですし。

清水:旅前はいつもの筋トレにウォーキングを追加してて。ちょっと多めにね。歩くことを体に癖付けるようにしています。

まり:私はウォーキングはあんまりで(笑)とりあえず筋トレだけは欠かさず続けていこうかと。

インタビューの端々で「人に恵まれている」と語るお二人。そんなお二人こそ、人を惹きつける魅力で溢れていると感じました。

心や体は年齢と共に変化を遂げながらも、立ち上げ当初にブランド名の「…」に込めた「決めつけない」「余韻を楽しむ」の精神をブレずに持ち続けてきたお二人。時にはストイックに、時には柔軟に。出会いや活動から広がる「人との絆」の大切さを改めて教えていただきました。

これからも「MADE BY…」の活動から目が離せません!みなさま、お楽しみに!

取材・執筆・撮影:ふじのあやこhttps://note.com/ayako_k100

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